2020年9月9日に関東地方に上陸した台風15号(令和元年房総半島台風)で、千葉県東部の街で被災した60代のNさんの体験談をご紹介します。
昨今の巨大台風では、都市インフラ(電気、水道、通信)が長期間にわたって麻痺することがあります。
2019年9月に千葉県を襲った台風15号(令和元年房総半島台風)では、都市インフラが長期にわたって麻痺しました。
この記事では、房総半島台風の経験から
1)台風が通過している時の状況
2)台風通過後の都市インフラ麻痺の状況
3)体験から学んだ考えられる対策
をお伝えします。
台風が通過している時の状況
令和元年房総半島台風は、中心気圧955hPa・最大風速45m/sの「非常に強い」勢力のまま、2019年9月9日深夜3時前に三浦半島に接近しました。
同日5時前に千葉市に上陸し、千葉県を中心に甚大な被害を出しました。関東地方に上陸した台風としては、過去最強クラスとなりました。
この台風、実はここまで大きな被害が出るとは予想できず「普通の対策」しかしていませんでした。
私と家内は「普通に」過ぎ去るのを待っていましたが、深夜0時頃から状況が一変します。
今まで経験したことのないような暴風雨が家を襲います。その音と恐怖は、今まで経験したことがありません。
「ドカン」「ガタン」「ボコッ!」と何かが飛んで家にぶつかる音、ゴジラの遠吠えのような聞いたことのない風音、雨戸が今にも飛ばされそうにガタピシと音を立て、一睡もできません。
そんな恐怖と戦いながら、テレビのニュースに耳を傾けていましたが、突然、テレビの画面が消えました。アンテナが飛ばされたようです。
台風の音しか聞こえなくなった室内。その後まもなく、電気が消れて真っ暗に。
風の吹きつける南側の寝室から北側のリビングへ家内と避難し、震えながら一夜を過ごしました。
やがて、外が明るくなるにつれて風もおさまってきましたが、本当の闘いはこれからでした。
台風通過後の都市インフラ麻痺の状況
暴風雨がおさまってきた午前7時。
電気がないとパンも焼けず、お茶も飲めない状況なので、コンビニに朝食の買い出しのために外出すると世の中が変わり果てていることに気づきます。
道路には大木が倒れ、看板、がれきがいたる所に散らばっていて、車が通れません。
信号はすべて消えています。やっとたどり着いた最寄りのコンビニは、電気が消えているため営業していません。
町中を走り回り、5件目でやっと開店中のコンビニを発見!
朝食を購入して戻ってきました。
午前9時。
テレビアンテナ修理のために電気屋にアンテナ修理を依頼しました。火災保険会社に連絡し、被害の概要を説明し、適用申請書を送付してもらうよう依頼しました。
今から思うと、朝一の修理依頼、保険会社への連絡を迅速に行ったのは大正解で、アンテナ修理は数日で終了。書類もすぐに届きました。
アンテナ修理は、連絡があと半日遅れたら1か月待ちだったそうです。
この後、停電は一週間続きます。
停電は都市機能を麻痺させます。
レジスターが使えないため、スーパーやファミレスでさえ、営業ができなくなります。開業しているわずかなコンビニも、常温保存可能な食料品はすぐに売り切れます。
翌日、10日の夕方位から水道が出なくなり、4日間の断水。同じ頃から携帯もつながりにくくなります。
水道局や携帯電話の基地局は停電時もある程度は稼働できるようですが、長くは継続できないようです。
家のインターネットはルーターの電源が入らず使用不可です。
体験から学んだ考えられる対策
台風対策と言えば、
・暴風雨対策
・短期的な停電対策として懐中電灯
・飲み水、お風呂の水の保存
・数日分の食糧
などは良く言われます。
しかし、これからは上記に加え、都市インフラの長期麻痺に備えた対策が必要です。
私は大型の家庭用バッテリーとソーラーパネルを購入しました。
発電機も考えましたが、大きな騒音を立てるものが多く排ガスがでるので屋内では使えません。
家庭用バッテリーは500WHr(ワット時)位のものであれば数万円。1KWHrでも10万円以下です。
これに充電用のソーラーパネルと車からの充電ケーブルを準備しておけば安心です。小電力機器(携帯、インターネットルーター、テレビ、照明)であれば数時間は使えます。
合わせて、車が使える場合、シガーライター用のインバーターがあれば、バッテリーを補完できます。シガーライターからAC電源を取り出せるインバーターが5,000円程度で売っています。
最後に、当たり前ですが、ガソリンは満タンにしておくこと。
インバーターを使った発電だけでなく、遠くまで買い出しに行くためにもガソリンは必要なのは言うまでもありませんが、大きな災害の直後はガソリンが手に入らなくなることを念頭に置く必要があります。
まとめ
いかがでしたか?
都市インフラ停止に備えて、大型のバッテリーがあれば、照明、テレビ、家のインターネット、携帯電話の充電等の省電力機器ならある程度の時間の利用ができます。なるべく容量が大きいものがお勧めです。
水は備蓄ができますが、電気の備蓄も必要ということですね。