みなさんは災害時に備えてトイレの備蓄をしていますか?
災害時には「停電や断水などで自宅の水洗トイレが使えない」「避難所の仮設トイレに長蛇の列ができていてなかなか用を足せない」など様々な問題が想定されます。
トイレの備蓄として、簡易トイレや携帯トイレが頭に浮かぶ方がいるかと思いますが、そんな時に活躍するのがパンツタイプの紙おむつです。紙おむつは「身につける携帯トイレ」として代用することができるのです。
この記事では、災害時のトイレ対策に有用な紙おむつの役割や利点について解説します。
はじめに(大人の方へ)
紙おむつの使用に関して、恥ずかしかったり、抵抗感を抱く方がいることを承知で記事を書きます。
トイレの使用については、平常時には使えないことを想像しにくいですよね。しかし、実際トイレが自由に使えず用を足せない場合、その時間的・身体的苦痛は想像を絶する苦しみです。「このような考え方もあるんだな」という視点で記事を読んでいただけると嬉しいです。
大人用紙おむつの種類
大人用の紙おむつには、赤ちゃん用の紙おむつと同様に「パンツタイプ」と「テープ止めタイプ」があります。
「パンツタイプ」は下着のような形状で、「テープ止めタイプ」はお尻の前後をくるんでテープで留める形状です。「パンツタイプ」は下着のような形状でパンツを履きやすいです。また、パンツ型の紙おむつには「薄さ」を売りにした商品があり、ズボンの下に履いたとしても、薄くて目立ちにく、他の人からおむつを使っていることが気づきにくいです。
この記事では、以後「パンツタイプの大人用紙おむつ」を「紙おむつ」として記載します。
災害時における紙おむつによる排泄の利点
排泄時に個室が必要ない
トイレは男性用の小便用便器を除き、基本的に排泄中の姿が見えないように個室になっています。小便用の携帯トイレもありますが、局部を見られないように個室で使いたいですよね。
紙おむつであれば、個室がなくても場所を選ばず、いつでもどこでも排泄することができます。
なお、排泄時には個室が必要ありませんが、紙おむつを着脱(交換)する際は、個室など着脱する姿が見えない場所が必要です。
トイレを探す必要がない
この記事を読んだ方の中には「災害が起こったら避難所のトイレを使用すればよい」とお考えの方もいるかもしれません。しかし、避難所の学校や公園のトイレや仮設トイレは個数が足りずに長蛇の列ができたり、し尿の汲み取りが間に合わず、便槽がいっぱいになって使えなくなる場合があります。
「川で用を足せばいい」という方もいるかもしれませんが、夜間は転落の恐れがあります。また、真っ暗な夜間や雨の日にトイレを探すのは精神的にも肉体的にも苦痛し、女性や子どもだと危険が伴います。
紙おむつであれば、装着さえしてしまえばトイレを探す必要がありません。
携帯トイレを設置する必要がない
携帯トイレには、洋式便器や簡易トイレに取り付けるものと、小便専用のものがあります。
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座って排泄したい場合は、洋式便器や簡易トイレに携帯トイレ(汚物袋と凝固剤がセットになったもの)を取り付けなければなりません。紙おむつであれば、携帯トイレを洋式便器や簡易トイレに設置する必要がありません。
処分が簡単
使用済みの紙おむつは、一般家庭の場合は基本的には「可燃ごみ」として処理できます(自治体や地域によって異なります)。
赤ちゃんのおむつと同じで、汚れた部分を内側にして、小さくまるめて捨てます。そのまま防臭用の袋に入れて処分することができます。使用済みの紙おむつからにおいが漏れないように、ごみ袋に入れて袋の口をしっかりと閉じましょう。
使用済み紙おむつを1個ごと新聞紙で包むと、においを和らげることができます。また、ごみ袋に入れる前に消臭袋に入れておくとにおいが気にならなくなります。さらに、新聞紙に包んだり消臭袋に入れることで、ごみを処分する時にごみが紙おむつであることがわかりにくくなります。
紙おむつによる排泄の注意点
大便はおむつと一緒に処分できない
紙おむつに大便をした際は、赤ちゃん用の紙おむつ同様、おむつから大便をのぞいてから処分しなければなりません。紙おむつは小便は吸水性ポリマーで水分を吸収しますが、大便は凝固しないためです。
ですので、紙おむつを使う際は、小便のみの使用が望ましいです。大便の時は携帯トイレを使うなど、使い道をわけるとよいでしょう。
排泄したままにしておくとかゆみやかぶれの原因になる
紙おむつの中で排泄したままにしておくと、かゆみやかぶれの原因になります。排泄後はできるだけ早く交換しましょう。
排泄をすると紙おむつが重たくなる
当たり前のことですが、排泄をすると排泄物(大小便)の分だけ重くなります。
紙おむつは商品によって吸収量が異なります。中には約1500ml吸収するという商品がありますが、もし小便を1500mlもしていたら、重さだけでなく紙おむつ自体が膨らみ、見た目にも違和感を覚えるでしょう。可能な限り、排泄後はできるだけ早く交換しましょう。
災害時以外の紙おむつの活用法
災害時以外の紙おむつの活用法として、①ドライスーツ着用時、②コンサートの時、③高速道路が渋滞の時などが挙げられます。
ドライスーツ着用時
ドライスーツとは、水中に入っても水が侵入してこないように作られたスーツです。ドライスーツはウエットスーツとは異なり、内部に水が侵入しないので濡れません。ドライスーツは、スクーバダイビングやサーフィンなどのマリンスポーツや潜水作業で使われます。
小便に限って言うと、ウエットスーツ着用であればウエットスーツは外部からも内部からも水が素材なので、海の中で排泄することができます。しかし、ドライスーツで小便をすると、水中に放出することができず、ドライスーツ内は小便で濡れてしまいます。
紙おむつを使えば、尿意をもよおした時も安心して排泄することができます。何をするにも、トイレで用を済ませてから…が基本ですが、生理的欲求なのでどうしようもならないことがありますよね。
ただし、スクーバダイビングをしている時に頭を水底に向けて泳ぐと(逆立ち状態になると)、おむつからおしっこが逆流してきてドライスーツが小便まみれになることがあるので注意が必要です(経験済み)。
(ここに書いたものは、あくまでも一案です。すべてのドライスーツ使用者が紙おむつを使用しているわけではありません。)
コンサートの時
コンサートによっては、休憩を挟まない場合があります。また、トイレに行きたくても会場内が混雑していたり、退席しにくいば場面が想定されます。さらに野外イベントの場合は、室内と違い途中退場しやすいですが、どのタイミングでもトイレの混雑が想定されます。
すべてのコンサートに言えることですが、コンサートが始まる前にトイレには行っておくことは前提として、紙おむつをしているとトイレのことを気にせず大好きなコンサートに集中することができます。
高速道路が渋滞の時
お正月やお盆の時期などで高速道路が渋滞した場合、休憩するためのサービスエリアやパーキングエリアに寄ることもたどり着くことも困難な時があります。
運転手以外の人は、小便用の携帯トイレで用を足すことができますが、運転手は車の運転しているため、ズボンをおろしたり小便用の携帯トイレを局部にあてがうことができません。
そんな時に紙おむつをしていると、渋滞してもトイレのことを気にせず走行し続けることができます。
まとめ
・排泄時に個室の必要がない
・トイレを探す必要がない
・携帯トイレを設置する必要がない
・処分が簡単
・大便は紙おむつと一緒に処分できない(使用は小便のみが望ましい)
・排泄したまま長時間使用していると、かゆみやかぶれの原因となる
・ドライスーツ着用時(マリンスポーツ、潜水作業など)
・室内や野外コンサートの時
・高速道路が渋滞の時
パンツタイプの紙おむつがあることで、排泄という生理現象に振り回されることがなくなります。特に災害時は、被災の状況によってはトイレを使うこと自体が困難になります。
大人用の紙おむつは、赤ちゃんの紙おむつと同様、1〜2個だけ小分け包装で販売されています。また、体型に応じて様々なサイズがあるので、自分に合った大きさの紙おむつを購入することができます。
ですので、興味を持たれた方は防災リュックや防災備蓄品に入れておいてください。事前に使用しておくと、いざと言う時に使用する時に抵抗感が減るだけでなく、安心感が生まれると思います。
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