レジリエンスとは?逆境から立ち直る力を防災と災害対策の視点で解説

 

どれほど予防のための対策をとっても、想像をはるかに超えた災害に襲われることは避けられません。わが国においても、東日本大震災や西日本豪雨などの災害などで甚大な被害を受けました。

 

では、被害を受けたとしても、そこから力強く、そして柔軟に立ち直るためには何が必要でしょうか。

 

災害からの回復において、逆境から立ち直る力、「レジリエンス」が注目を集めています。

 

本記事では、災害などの逆境から立ち直る力「レジリエンス」について防災と災害対策の視点で解説していきます。

 

 

「レジリエンス」とは何か?

 

「レジリエンス(resilience))」は物理学の用語で、跳ね返す力、回復力などを指す言葉です。

 

ゴムボールは力を加えてへこませても元の形に戻りますよね。このように、へこんでも元に戻る「弾力性」がレジリエンスのもともとの意味です。

 

その後、「レジリエンス」は心理学や精神医学の分野で用いられるようになりました。「人が困難な出来事に遭遇して落ち込んだとしても、そこから立ち直ることができる」という現象を説明する用語となりました。

 

またここ数年は、レジリエンスが「防災力」とほぼ同義で使用されるようになりました。

 

災害などで社会が部分的に被害を受けても、速やかに回復する強靭さを指す言葉としても頻繁に使用されています。

 

それでは、心理学におけるレジリエンスと災害の分野で言われるレジリエンスについてそれぞれについて解説します。

 

 

心理学におけるレジリエンス

レジリエンスは心理学において「脅威や困難などの状況下においても、うまく適応する過程・能力・結果」などと定義されています。

 

レジリエンスとは単に「打たれ強い」という意味ではありません。

 

たとえば、人は挫折や大事な人との別れを経験すれば、落ち込んだり不安になったりと不安的な精神状態に陥ります。しかし、そんな不安定な状態が長期間にわたって続く人ばかりではなく、そこから回復して立ち直る人が多いと思います。

 

このような精神的な落ち込みがあったとしても、立ち直ることができる人が「レジリエンスを持った人」と言われています。

 

また、2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロ事件でのうつ状態やPTSD(心的外傷後ストレス障害)について調査したところ、

 

急性の症状が出たとしても、長期的にみると精神疾患の発症率は低いことが明らかにされています。

 

レジリエンスには測定する項目も作成されており、小塩(おしお)真司氏らによる研究では「新奇性追求」「感情調整」「肯定的な未来志向」の3つの要素で構成されていることが報告されています。

 

 

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災害対策におけるレジリエンス

レジリエンスは災害対策において「防災力」と同義に使われています。日本では東日本大震災の際に復興に向かう力として「レジリエンス」と言う用語が用いられ、一般にも使われるようになりました。

 

レジリエンスは心理学では「個人の立ち直りの力」として用いられている用語です。しかし、災害においては、主に都市や地域などの組織の強さを表す言葉として考えられています。

 

地震などの災害が起きた場合には、建物が倒壊して都市の機能が部分的に停止することがあり得ます。機能の一部が停止したことで都市全体の機能が停止してしまってはレジリエンスを備えた都市とは言えません。

 

一部が壊れたとしても、他で補いながら、スムーズに機能を回復できる都市がレジリエンスの高い都市と言えます。

 

また、機能の中には人的なつながりも含まれます。東日本大震災においては、改めて地縁の重要性が叫ばれるようにもなりました。

 

 

レジリエンスを高める要素は何か

心理学と災害対策では扱う内容が異なってはいますが、レジリエンスを高めるために必要な要素としては共通の要素があると考えられます。

 

それは、完璧さを求めるよりも、問題が生じた時にいかに対処できるのかという「柔軟性」です。

 

心理学の分野では「自分でコントロールできるかどうか」「物事を楽観的に捉えられるかどうか」といった点が重要になります。

 

つらい時にその状況を悲観的に捉え続けていては立ち直ることができません。柔軟に気持ちを切り替えて、次の行動に移せる人は立ち直ることができるでしょう。

 

また、災害対策の分野においても、考え方は同じです。完璧に設計されていると思いこんでいたとしても、予想外の災害に対する対策が考えられていない都市・地域はレジリエンスの高い組織とは言えません。やはり、問題が生じた時に対処できるように即座に動ける組織が望ましいでしょう。

 

そのためには災害に対する予防をしっかり行い、どのように対応すればよいのか組織としても備えておくことが重要になってくるでしょう。

 

 

まとめ

本記事ではレジリエンスを心理学と災害の分野に分けて解説しました。

 

レジリエンスの考え方では、問題が起こらないように防御を固めるのではなく、問題が起こることを前提に、そうなったらどのように対処すればよいのか、という柔軟さが重要であることを強調してきました。

 

災害が起きた時には個人としても不安になりますし、集団としてもパニックが起きるかもしれません。

 

その時に不安や恐怖などの負の感情に巻き込まれず、しなやかに乗り越えていく力がレジリエンスと言えるでしょう。

 

 

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